好き嫌い・食育 食育・子どもの薬膳

こどもの食育は「教える」から「感じる」へ|子どもが社会で生き抜くための薬膳の知識

「今日は一口も食べてくれなかった」

「野菜を全部残してしまった」

毎日の食卓で、お子さんの食べムラや好き嫌いに一喜一憂しているママは少なくありません。

SNSで見かけるおしゃれな幼児食や栄養満点の献立と比較しては、「どうしてうちの子は……」と、親としての責任感から自分を責めてしまうこともあるでしょう。

ですが、

「こども薬膳」が提案する食育は、世間一般で言われる「完食を目指す」「栄養素を数値で管理する」ものとは少し違います。

私たちが大切にしているのは、単なる知識を授ける「教える食育」ではなく、子ども自身が「自分で自分を整えられるようになるための知恵」を繋いでいくこと。 

それは、いつか子どもが親の手を離れ、社会という荒波に出たとき、自分自身を助け、前を向かせてくれる一生の財産になるはずです。

「ちゃんと食べてほしい」という思いの裏にあるもの

ママが「ちゃんと食べて」と願う背景には、お子さんの健やかな成長を願う純粋な愛情があります。

食べてくれない=元気がなくなってしまう、という不安。

それは親として当然の感情です。

しかし、子どもの体は日々刻々と変化しています。 「こども薬膳」の考え方で見ると、子どもは「脾(消化のための機能)」が非常に未熟な状態です。

大人なら平気な量でも、その日の気温や湿度、あるいは精神的な疲れによって、小さな体はすぐに「今は消化にエネルギーを使いたくない」というサインを出します。

それが「食べ渋り」や「好き嫌い」として表れているだけだとしたら。 

「食べない」という行為は、わがままではなく、自分の体を守るための防衛反応である可能性が高いのです。

まずは「ちゃんと食べさせること」をゴールにするのではなく、お子さんの体が今どんな状態にあるのかを、一歩引いて観察することから始めてみましょう。

「教える食育」から、一生使える「自分を整える知恵」へ

これまでの食育は、「赤・黄・緑の食品群をバランスよく食べましょう」といった知識を大人が子どもに授ける形が主流でした。

もちろんそれも大切ですが、知識として知っていることと、自分の体に合わせて選べることは別物です。

「こども薬膳」が目指すのは、「今の自分の状態を感じ取り、何を食べれば心地よくいられるかを自分で判断できる力」を育てることです。

社会に出たとき、自分を救えるのは「食」の知識

子どもたちはいつか、私たちの目が届かない場所へと羽ばたいていきます。 進学、就職、人間関係の悩み。人生には、多かれ少なかれ壁に当たる時期が必ず訪れます。

そんなとき、心が折れそうになっても、

「今はストレスがかかって『気』が滞っているから、香りのいいお茶を飲んで巡りを良くしよう」

「胃腸(脾)が疲れているから、今日は温かくて優しいスープを選ぼう」

と、自分で自分をご機嫌にできる術(すべ)を知っていたらどうでしょうか。

自分を卑下したり、投げやりになったりするのではなく、食事を通して自分を立て直すことができる。 この「生きた知識」こそが、人生の荒波を乗り越えるための「自律の力」になります。

「食べない」を否定しない勇気が、子どもの感覚を研ぎ澄ます

お子さんが特定の食材を避けるとき、そこには必ず理由があります。

  • 「脾(ひ)」が冷えていて、冷たい生野菜を受け付けない
  • 「気(き)」が足りず、消化の重いお肉を体が拒否している
  • 湿気が多い時期で、体の中に余分な水分が溜まっている

これらを「好き嫌い」という一言で片付けず、「今は体がお休みしたいと言っているのかな?」と観察してみる。

「食べない」ことを否定せずに受け止めるママの関わりは、子どもに大きな安心感を与えます。そして、「自分の体の感覚を信じていいんだ」という自分への信頼を育てます。

薬膳の考えの素晴らしいところは、一つの食材にこだわらなくても、同じ「方向性」を持つ別の食材で補える柔軟さにあります。

◆かぼちゃを食べれなくても、鶏肉でお腹を温めればいい
◆魚を食べなくても、豆腐でエネルギーを補えばいい

そうやってママが「代替案」を提示することで、食卓からプレッシャーが消え、心地よい循環が生まれます。

食育に活かすこども薬膳の基本的な視点

具体的な知識を叩き込む必要はありません。

毎日の会話の中で、少しずつ「体と食のつながり」を意識させるだけで十分です。

ママができる、今日からの声かけヒント

  • 「これを食べたら、お腹がポカポカしてきたね」(温める力の体感)
  • 「今日は雨で体が重い感じがするから、お野菜のスープにしようか」(湿気と体の関係)
  • 「よく噛んで食べたら、お腹がびっくりせずに喜んでいるよ」(胃腸を労わる意識)

こうした小さな声かけの積み重ねが、子どもの中に「自分の体と対話する習慣」を作ります。

「こども薬膳」の書籍をめくりながら、「今日はどの食材が体さんに元気がくれるかな?」と一緒に選んでみるのも、立派な食育のひとときです。

常にそばにいてあげられないからこそ、渡せるもの

私たちは、子どもの人生の最後まで寄り添ってあげることはできません。 どんなに願っても、いつかは離れていく存在です。

だからこそ、今この食卓で私たちができることは、目先の栄養を詰め込むこと以上に、「自分の体を愛し、整える方法」を伝えてあげることではないでしょうか。

薬膳の知識を授けることは、お子さんの幸せな未来に向けた、最強の「お守り」を渡すことと同じです。 人生の困難に直面したとき、その子の心と体を支えるのは、かつてママと一緒に囲んだ食卓での「自分を大切にする記憶」かもしれません。

ママ自身が、今の体を見て、今日のごはんを選ぶ。 その背中を見せ、分かち合う時間が、お子さんの生きる土台を強く、優しく作っていきます。

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まとめ|食卓は「正解」を出す場所ではなく、「土台」を育む場所

食育に成功も失敗もありません。
一口食べた、食べなかった。
そんな目先の結果に惑わされなくて大丈夫です。

大切なのは、食を通じて「自分の体を大切にする」という姿勢を伝えること。

この視点を持つことで、ママの心にも余裕が生まれます。そしてその心の余裕こそが、お子さんの「食べる力」を伸ばす最高のスパイスになりますよ。

今日のごはんが、お子さんの未来を支える力強い一歩になりますように。

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