
春が近づくと、お子さんにソワソワしている様子ありませんか?
4月から、新しいクラスや新しい学校での生活が始まります。 ワクワクした表情を見せる一方で、子どもたちは私たちが想像する以上に、環境の変化という大きなストレスの中に身を置いています。
最近、なんだかお子さんの怒りっぽさが目立ったり、夜なかなか寝付けなかったり、あるいは急に甘えん坊になったりしていませんか? 「私の育て方が悪いのかな?」「これが反抗期?」と自分を責める必要はありません。それは、春という季節特有のエネルギーが、お子さんの体の中で少しだけ「暴れている」サインかもしれません。
こども薬膳では、春を「肝(かん)」の季節と捉えます。
この「肝」を上手に整えてあげることで、トゲトゲしていたお子さんの心が、春の風のようにふんわりと解けていくことがあります。この記事では、こども薬膳の視点に基づいた「春の観察ポイント」と、「食卓でできるケア」について詳しくお伝えします。
なぜ春になると、子どもは怒りっぽくなったり寝付きが悪くなったりするの?

中医学(中国の伝統医学)では、季節ごとに活発に働く臓器があると考えます。春に主役となるのが「肝(かん)」です。
怒りの感情を司る「肝」が活発になりすぎる季節
「肝」は、気(エネルギー)の巡りや怒りの感情をコントロールする役割を担っています。
春になると、冬の間に縮こまっていた植物が芽吹くように、人間のエネルギーも外へ向かって発散しようとします。 しかし、このエネルギーが強すぎたり、環境の変化によるストレスでうまく発散できなかったりすると、「肝」が昂ぶり、イライラしたり、感情がたかぶったりしやすくなります。
環境の変化と「肝」の密接な関係
特に進級や進学の時期は、子どもにとって「気を張っている」状態が続きます。
外で頑張っている分、お家へ帰ってくると溜まっていたエネルギーが「イライラ」や「情緒不安定」として溢れ出してしまうのです。これは、お子さんの心が弱いからではなく、体が一生懸命に新しい環境に適応しようとフル回転している証拠なのです。
わが子のサインをキャッチする!こども薬膳流「春のチェックリスト」

こども薬膳で最も大切なのは「観察」です。難しい理論を覚えるよりも、今、目の前のお子さんがどんなサインを出しているかに気づくことが、一番の薬膳になります。
「目が赤い」「怒り方が激しい」は体からのメッセージ
「肝」の状態は、特に「目」に現れやすいのが特徴です。
- お子さんの目が充血していませんか?
- 目が乾燥して、瞬きが多くなっていませんか?
- いつもなら許せることに、キィーッ!と激しく怒っていませんか?
もしこれらに心当たりがあるなら、それは「肝」に熱がこもっているサインかもしれません。体の中のエネルギーが上に突き上げているような状態です。
夜泣きや寝付きの悪さも「熱」のサイン
夜、なかなか寝付けなかったり、寝てもすぐに起きて泣いてしまったりするのも、春のたかぶりのひとつです。頭に血が上り、熱がこもっていると、心はリラックスモードに切り替わることができません。
そんな時は、「早く寝なさい!」と焦るよりも、「あぁ、今は春のエネルギーの影響を受けてるんだな」と、体の状態を理解してあげるだけで、ママの気持ちも少し楽になるはずです。
実は、春は子どもが「ピョンピョンとジャンプする」ことが多くなります!
それも本能的に上がってしまった気を降ろそうとしている行動。
理由を知っていると、そんな様子も可愛らしく見えてきますよね。
春のたかぶりを鎮める「緑の野菜」と「いい香り」

たかぶってしまった「肝」を鎮め、気の巡りをスムーズにしてくれるのが、春に旬を迎える「緑の野菜」や「香りの良い食材」です。
セロリ、パセリ、菜の花……「苦味」と「香り」の力
春の野菜には、独特の苦味や強い香りを持つものが多いですよね。
- 香りの野菜(セロリ、パセリ、春菊など): 滞っている「気」を動かし、スッと発散させてくれる効果があります。
- 苦味の野菜(菜の花、たけのこなど): こもった「熱」を冷ましてくれる働きがあります。
これらを食卓に取り入れることで、お子さんの高ぶった神経を穏やかに整える手助けができます。
お子さんが食べやすくする工夫
とはいえ、セロリやパセリは子どもが苦手な食材の代表格。
「体にいいから食べなさい」と無理強いしては、さらにストレスを与えてしまいます。
パセリを細かく刻んでハンバーグに混ぜたり、セロリをスープに溶け込ませて香りをマイルドにしたり。あるいは、無理に食べさせなくても、大人が「おいしいね」と食べている姿を見せるだけでも十分です。 酸味(レモンや酢)も「肝」をサポートする味。ほんのり甘酸っぱい味付けにすると、お子さんも食べやすくなります。
大人にとっての「いい香り」も、お子さんにとっては苦手になることもあるので、どんな香りが好きなのかな?を探してみてください。
頑張りすぎないで。ママの「心の余白」が一番の薬膳になる

最後にお伝えしたいのは、ママ自身の心の状態は、意外にも多くお子さんに影響を与えるということです。
子どもをコントロールしようとする手を緩めてみる
「薬膳でなんとか整えなきゃ」
「早くこのイライラを抑えなきゃ」
とママが必死になりすぎると、その緊張感はダイレクトにお子さんに伝わります。春の不安定な時期は、親子ともに「揺らぐのが当たり前」なのです。
「今日はイライラしちゃったね。春だから仕方ないね」
そんなふうに、現状を丸ごと受け止めてあげる「心の余白」を持つこと。それこそが、どんな高級な食材よりもお子さんの心を安定させる最高の薬膳になります。
それでも人間ですもの。怒ってしまうこともきっとある。
そんな時は、「春だからママもイライラするのかも。ごめんね。」と、素直に言葉にして伝えてみましょう。間違っても大丈夫。親子だもの、また明日から始めればいいのです。
親子で「春の揺らぎ」を面白がる
完璧な食卓を目指す必要はありません。
「今日は目が赤いから、ちょっとセロリを食べてみようか?」と、お子さんと一緒に体の変化を面白がりながら、ゲームのように食養生を楽しんでみてください。
薬膳や食養生は無理に続けるのが1番良くないと、私は感じています。私たちが目指すのは、長く続けられる心地よいご飯の時間。
迷ったり、辛くなったり、面倒くさくなったりした時は、ぜひ「どうしたら楽しめるか?」を最優先に考えてみてください。
さらに詳しく学びたいママへ
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