秋になって空気が乾燥してくると、子どもは肌やのど、呼吸器に影響を受けやすくなります。子どもは皮膚のバリア機能が弱いうえに、気温の変化や昼夜の寒暖差で体が疲れやすく、ほんの少しの乾燥でも肌あれや咳が出たり…という症状になりがちです。
東洋医学(中医学)の視点では、「乾燥」は「燥邪(そうじゃ)」と呼ばれ、特に肺に不調が起きやすい季節の邪気です。肺は肌・喉・呼吸器・粘膜・大腸などと関係が深く、ここが乾くと体全体に乾燥に関する不調があらわれやすくなります。家庭で薬膳的なごはんを取り入れることで、自然な方法で子ども本来の回復力を支え、乾燥による不調を予防・軽減することが可能です。
以下で、何をどう取り入れるとよいか、「食材」「調理の工夫」「生活でできること」など、ママでも無理なく始められる方法とアイデアをお伝えします。
秋の乾燥が子供に与える影響とは?東洋医学の視点から考える

五行思想における「秋」の特徴
東洋医学では、秋は「金(きん)」に属し、「肺」と深い関わりがあるとされます。秋の冷たく乾いた空気は、肺を傷つけやすく、喉・鼻・肌・大腸などの潤いを奪っていきます。これが咳、肌あれ、便秘といった症状に表れてきます。
また、秋は「収穫」の季節でもあり、自然界が“内にこもる”方向へ向かう時期。子どもたちも内面のバランスが崩れやすくなるため、外からの刺激だけでなく、食や生活習慣で内側を整えることが大切です。
咳・鼻水・肌のかゆみなどの原因と関連性
乾燥によって粘膜が弱ると、外邪(ウイルスやホコリ)からの防御が下がり、ちょっとした風邪でも長引いたり、アレルギー症状が悪化することがあります。肌もバリア機能が落ちて、かゆみや湿疹が出やすくなります。
薬膳では、これらを「潤す」「補う」「和らげる」方向でケアしていきます。
子供の体に優しい「薬膳」の基本と食事での取り入れ方

家庭でできるシンプルな薬膳の考え方
薬膳は、季節や体調に合わせて食材を選び、バランスを整える“日々の食事術”です。難しい生薬は使わず、身近な野菜や肉、魚、果物などで十分。大切なのは「季節と体の声を聞く」ことです。
秋は「潤いを補うこと」「乾燥から守ること」に重きを置きます。
子供の体質を意識した日々のごはん作り
体質が虚弱気味な子、アレルギー体質の子、肌トラブルが多い子は、特に秋の薬膳ごはんで体の内側から整えることが効果的です。毎日のごはんに少しずつ「潤す」要素を足していくだけで、変化が見えてくるはずです。
秋に取り入れたい身近な薬膳食材と活用の工夫

| 食材 | 薬膳での効用 | 取り入れ方の工夫 |
| 梨・りんご | 肺を潤し、のどの乾燥を和らげる | コンポートやすりおろしでデザートに |
| 白きくらげ | 潤いを補い、咳・肌荒れに良い | 味噌汁やスープ類に活用 |
| れんこん | 咳を鎮め、のどを守る | 炒め物やすりおろしてスープに |
| 山芋 | 胃腸を整え、免疫をアップする | 味噌汁に入れたり、煮物にして柔らかく |
| 豆腐・豆乳 | 肺・腸を潤し、消化にやさしい | スープ・シチュー・甘酒とわっても |
| サツマイモ・かぼちゃ | 胃腸を温め、便通を促す | シンプルに煮る、蒸しパン、おやつ代わりに |
| 鮭 | 体を温め、潤いを守る脂を補う | グリル・煮物・チャウダーに |
これらの食材は、すべてスーパーで簡単に手に入ります。日々の献立に少しずつ取り入れていくことで、子どもの体が季節に強くなるサポートになります。
忙しくても作れる!秋の薬膳ごはんアイデア

忙しいママでも無理なく作れる、薬膳的要素を含んだ簡単なごはん例をご紹介します。
豆乳スープでのど潤すチャウダー風
- 鮭、白菜、しめじ、豆乳を使った優しい味のスープ
- 豆乳は沸騰させず、温めるだけにすると風味が保てます
さつまいもとれんこんの蒸しもの
- 肺を潤し、便通を助ける力があります
- 蒸篭で蒸すだけ。すりごまをかけると食べやすい
梨と白きくらげのコンポート風
- 咳やのどの乾燥が気になる日に
- 弱火でゆっくり煮ることで、白木耳がトロトロに。
好き嫌いがある子でも大丈夫!食材を工夫するコツ
偏食や好き嫌いがある子には、以下のような工夫を取り入れてみてください。
- すりおろす・刻む・潰す:食感や見た目を変えるだけで、苦手意識が減ることも
- 味をなじませる:味噌・出汁・甘みなどで“安心できる味”にすると、受け入れやすくなります
- 一緒に作る:簡単な工程(混ぜる・並べる・型抜きなど)を手伝わせると、食への興味が出てきます
「これは薬膳だから食べなきゃダメ」と思わず、「今日はこれ、体にやさしいんだって〜」と軽く伝える程度でもOKです。
実際に薬膳を選ぶ家庭で広がっている傾向
実際に子どもの体調に悩むママたちの間では、薬に頼らずに「食で整える」方法として、薬膳ごはんへの関心が高まっています。
- 咳が続いていた子どもに梨のスープを試したら、咳をせずに夜ぐっすり眠れるようになった
- 便秘気味だった子が、肺を潤す食事でお通じが良くなった
- 肌がカサカサで悩んでいたが、毎日レンコンを食べていたら改善してきた
など、具体的な変化を感じているケースも少なくありません。大切なのは「薬膳で完璧を目指す」のではなく、「できる範囲で取り入れてみる」という姿勢です。
初めての方でも安心!薬膳生活を始めるための小さなステップ
- 1日1品だけ“潤い食材”を使ってみる
例:夕飯のスープにれんこんを入れてみる、朝に梨を出す - 「子どもが好きな味」からスタート
子どもの好みに合わせて、まずはスイーツ系、味噌味、甘辛などでアレンジ - 調理をシンプルにする
煮る・蒸す・和えるだけでも薬膳効果は十分得られます - 無理せず楽しく続ける
毎日でなくても、「週に2〜3回できたらOK」と考えるのがおすすめです
よくある質問と不安への答え
| Q | A |
| 子供に薬膳って安全? | はい、薬膳はあくまで「自然の食材を活かす考え方」なので安全です。ただし、食物アレルギーには注意してください。 |
| 特別な食材が必要? | いいえ、スーパーで手に入るもので十分です。白きくらげなども乾物コーナーで購入できます。 |
| 難しそうで続くか不安… | まずは“今日の一品だけ”という小さな習慣から始めてください。続けることで自然と身についてきます。 |
まとめ:秋の乾燥対策は、家庭のごはんでできることから

秋の乾燥は、子どもの健康にじわじわと影響を与えます。しかし、日々のごはんに「潤す」「整える」食材を取り入れることで、無理なく体調を守ることができます。
特別なことをする必要はありません。毎日の食事にほんの少し意識を加えるだけで、子どもの咳が和らいだり、肌が落ち着いたりと、変化を感じられるはずです。
「子どもが元気に過ごせている」「薬に頼らず、食でケアできている」という安心感は、ママにとっても大きな支えになります。まずは、できることから。今日のごはんに、ひとつ薬膳のエッセンスを取り入れてみてください。

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