子供が「苦い」「独特の香りがある」「クセが強い」と感じてしまう味はたくさんあります。薬膳食材や一部の野菜など、栄養や体に良いものであっても食べにくいと感じることが多いもの。しかし、味付けや調理法の工夫で「苦手」な味を「食べられる」→「好きかも」に変えることは十分に可能です。
この本文では、薬膳の基本原則「五味」などを活用しつつ、子供の味覚の発達段階を考慮した“味付けアイデア”を豊富に紹介します。苦手な食材を無理に出すのではなく楽しく慣らしていきたいママに、具体的なヒントをお届けします。
子供が苦手な“味”の正体とは?偏食の原因を薬膳で診る

子供が嫌いと感じる味の種類
子供が苦手とする味には、主に以下のようなものがあります:
- 苦味:例えばゴーヤ、セロリ、苦みのあるほろ苦野菜など。薬膳食材にも苦味を持つものが多く含まれます。
- 酸味・渋味:柑橘類や酢、梅、柑橘類の皮など。酸味が強いと「すっぱ!」と感じてしまう子も。
- 匂いや香りのクセ:香草や薬味、生姜・にんにく・香辛料など。薬膳ではこれらを体質に応じて使いますが、強い香りは子供にはハードルが高いことが多い。
- 塩味・鹹味(しょっぱさ)にまつわる苦手:しょっぱさが強いと感じる感覚もあります。
味覚の発達と体質の関係
味覚は小さなころから育ちます。薬膳では、五味(酸・苦・甘・辛・鹹(しおからい味))という味の基本区分があります。
- 甘味は比較的受け入れやすく、安心感を与える味。消化器系を育てる役割がある食材も多いので、まずは甘味をベースにする工夫が有効です。
- 酸味や苦味は、腐敗しているもの、毒のあるものと本能的に判断している子も多く、少しずつ慣らすことが重要。
- 五味をバランスよく使うことで、偏りを防ぎ、野菜など苦手な食材も食卓に取り入れやすくなります。
薬膳の「五味」とは?味のバランスが体に与える影響

薬膳で味付けを工夫するときに覚えておきたい「五味」の考え方をまず理解しておきましょう。
| 味 | 代表的な食材例 | 薬膳での働き |
| 甘味 | 穀類、豆類、芋類、かぼちゃ、山芋、にんじん、ナツメなど | 滋養作用・体を補う・胃腸を整える |
| 酸味 | 酢、梅、レモン、柑橘類など | 出すぎるもの(多汗、下痢など)を抑える収斂作用 |
| 苦味 | ゴーヤ、ごぼう、セロリなど | 熱を冷まし、体内の余分なものを排出する |
| 辛味 | 生姜、ネギ、にんにくなど | 気と血の流れを促進する、抵抗力を上げる |
| 鹹味 | 塩、カニ、えび、海藻類など | しこりを柔らかくする、体の根本の力を上げる |
それぞれの味には役割があります。あえて苦手な食材を食べなくても、体調を整えられることも。
食べづらい薬膳食材をおいしく変える!味付けの工夫

味をまろやかにする方法
- 甘味を加える:かぼちゃやさつまいも、はちみつなど自然な甘みを活用
- だし・うま味で味を補う:昆布・かつお・干し椎茸のだしは、子どもが食べやすい味のベースに
- 酢や香辛料は少量ずつ:酢は柑橘果汁で代用、香辛料は子どもには必要ないことも多いのであえて入れなくてもOK
- とろみをつける:あんかけやポタージュにすることで味の角が取れる
苦手食材別の工夫例
| 食材 | 苦手ポイント | 味付けアイデア |
| ごぼう | 土臭さ・硬さ | 油揚げや、豚肉、ごま油などと合わせてマイルドに |
| セロリ | 香りが強い | 細かく刻んでスープ料理に |
| ゴーヤ | 苦味 | 塩もみ+アク抜き+卵とじでマイルドに |
| 干し椎茸 | 香り | みじん切りにして他の食材に混ぜ込む |
| ピーマン | 香り・苦味 | 繊維に逆らって切ると甘味がアップ |
子供の味覚をひらく!薬膳の調理法と組み合わせアイデア

- 蒸す・煮る・炒めるで苦味を和らげる
- ポタージュ・ミルク煮でまろやかさUP
- 他の好きな食材と混ぜる・挟む・包む
- フルーツや甘酒、味噌などと組み合わせる
例:苦手な根菜を甘めのみそ煮にする、苦手な葉野菜を蒸してポン酢+すりごまで和える
子供が「おいしい!」と感じる風味の作り方
- 豆乳+味噌+ごまのスープ:クセのある野菜も優しい風味に
- りんご酢+はちみつのドレッシング:酸味を感じさせにくく
- バナナ+ナツメ+甘酒の蒸しパン:甘さの組み合わせで満足度アップ
- 根菜と干し椎茸のだし煮込み:クセを抑えて自然な甘味に変える
「食べない」は悪くない!段階的に慣らす薬膳的アプローチ
- 最初は「混ぜる」「添える」からスタート
- 苦手食材は1回1口でOK、嫌がらずに食べられたら成功
- 「この食材は体を温めてくれるんだよ」など食べることの利点を伝える
- 楽しく一緒に調理することで「触れる・見る・匂いを嗅ぐ」体験を増やす
よくある質問とママの疑問に答えます

Q. 無理やり食べさせるのはよくない?
→ はい。無理強いすることは、嫌な経験として残りがち。長い目で見ていくことが大事です。
Q. 甘味に頼りすぎると偏りませんか?
→ 甘味=砂糖というわけではないので、自然な甘味(野菜・果物・甘酒)をうまく使えばOKです。
Q. 全然食べてくれないときは?
→ 無理せず、まずはママが楽しめる方法を前提にチャレンジしてみましょう。楽しいことに子どもは敏感なものです。
まとめ:味覚は育てられる。薬膳の知恵で“苦手”が“好き”に変わる
子供が苦手な味には理由があります。でも、薬膳の知恵と家庭の工夫を取り入れることで、「食べられない」から「食べられる」へ、そして「ちょっと好きかも?」に変わっていく可能性は十分にあります。
味覚は習慣。今日のごはんにちょっとした工夫を足すだけで、子どもの体調も味覚も、少しずつ変わっていくはずです。まずは、ひとつだけでも工夫を試してみてくださいね。

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