こどもの薬膳 栄養と成長

「体にいい」の迷子にならない!ママの“気づき”がわが子の体を守る「こども薬膳」の知恵

「この食材、免疫力が上がるらしいよ」

「SNSで話題のあのスーパーフード、毎日食べさせたほうがいいのかな?」

スマホを開けば溢れてくる、キラキラした魅力的な健康情報の数々。子育てに一生懸命なママほど、こうした言葉に敏感になり、「やってあげなきゃ」と焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。

でも、ちょっとだけ立ち止まってみてください。

その「体にいい」という言葉、「今の、あなたのお子さん」にとっても正解でしょうか?

私が「こども薬膳」をお伝えする中で、何よりも大切にしている視点があります。それは、どんなに優れた食材であっても、「いつでも・誰にでも合うわけではない」ということです。

今回は、情報過多の時代に振り回されず、ママが自信を持って食卓に向き合えるようになるための「バランスと観察」の考え方をお伝えします。

そもそも「体にいい」の正体ってなに?

私たちは日常的に「体にいい食べ物」という言葉を使います。しかし、中医学をベースとした薬膳の考え方で見ると、その定義は驚くほど流動的です。なぜなら、食べ物にはそれぞれ「性質」があり、食べる人の「体質」や「今の状態」によって、その働きが180度変わってしまうからです。

  • ある子にとっては: 体を温め、元気をくれる最高の味方
  • 別の子にとっては: 体に熱を溜め込み、イライラや湿疹の原因になるもの

例えば、潤いを与えてくれる食材も、元々体に余分な水分が溜まっている子が食べ過ぎれば、さらに体を重くさせてしまうかもしれません。

「体にいい」の正体は、特定の食材にあるのではなく、「今のその子」に不足しているものを補い、多すぎるものを引き算する「バランス」の中にしか存在しないのです。

こどもの体は「大人の縮小版」ではない

よくいただく質問に、「大人の薬膳と何が違うの?」というものがあります。実は、考え方のベースは同じですが、こども特有の「体のルール」を知っておく必要があります。

私が考える「こども薬膳」の対象は、離乳食完了期から、体が完成する20代前半(女の子は21歳、男の子は24歳)頃まで。この時期の体には、大人とは違う大きな特徴が3つあります。

  1. パワーにあふれ、日々成長していること
  2. 内臓器官(特に消化システム)がまだ未熟であること
  3. 心も体も経験値が低く、環境の影響をダイレクトに受けること

パワーがある反面、キャパシティはまだ小さい。

だからこそ、大人と同じような強い健康法をそのまま当てはめるのではなく、こどもの発達段階に合わせた「優しい調整」が必要なのです。

「食べ方」より「感じ方」を大切にする理由

薬膳を学び始めると、「どの食材が何の効能か」を暗記することに必死になってしまうママがいます。でも、知識だけでガチガチになった食卓は、こどもにとって本当に幸せな場所でしょうか。

私が一番伝えたいのは、「食べ方」よりも「感じ方」です。

「今日はなんだか顔色が白いね、お腹が冷えてるのかな?」
「最近よく笑うようになったね、この食べ物が合っているのかも」

そうやってママがわが子を観察し、変化に気づくこと。そして、お子さん自身が「これを食べると体がポカポカして気持ちいいな」「今日はこれがいらない気がする」と、自分の体感覚を信じられるようになること。

知識は、その「気づき」を助けるためのツールに過ぎません。

「食べなければ意味がない」と思い詰める必要はありません。もしお子さんが特定の食材を嫌がったら、それは「今は必要ないよ」という体からのサインかもしれません。調理法を変えたり、同じ効能を持つ別の食材を探したりすればいいだけ。薬膳に「絶対食べてはいけないもの」も「必ず食べなければならないもの」もないのです。

ママの「観察眼」を育てる3つの基準

「何を見ればいいかわからない」というママへ。まずはこの3つのポイントから、お子さんを観てみてください。

  1. 表情と情緒: 目に輝きはあるか、充血していないか、イライラしていないか。
  2. 睡眠と排泄: ぐっすり眠れているか、便の状態(形、色、匂い)はどうか。
  3. 食欲とリズム: 美味しそうに食べているか、食後にだるそうにしていないか。

これらが一時的ではなく、季節を越えて安定しているかどうかが、その子にとっての「正解」の基準です。

正解はスマホの中ではなく、目の前の子の中に

「こども薬膳」を学ぶことは、特別な料理を作れるようになることではありません。「わが子を観る力」を育てることです。

いつかお子さんが成長し、親の手を離れていく時。 「自分の体調に合わせて、自分で食べ物を選べる知識」 これこそが、私たちがこどもに贈れる、目に見えないけれど最高の一生モノの財産だと私は信じています。

完璧を目指さなくて大丈夫。 まずは今日、目の前のお子さんの顔をじっくり見て、「今日はどんな感じかな?」と問いかけることから始めてみませんか。ママの優しい気づきこそが、どんなスーパーフードよりもわが子の体を守るお守りになります。

さらに詳しく学びたいママへ

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