季節のケア 性格と心

春に子どもの心が不安定になる理由|イライラ感の正体と「胃腸」の意外な関係

春休みが明け、いよいよ新生活が始まるこの季節。

お子さんの様子を見ていて、こんなふうに感じることはありませんか?

  • 些細なことでイライラして、落ち着きがない
  • 感情の起伏が激しく、急に泣き出したり怒ったりする
  • 朝になると「お腹が痛い」と元気がなくなる
  • 新学期を前に、どことなくソワソワして表情が硬い

新しいクラス、新しい先生、新しいお友だち……。

春は子どもにとって、大人が想像する以上に大きな環境の変化が押し寄せる季節です。そのため「新生活のプレッシャーかな?」「少し情緒不安定になっているのかも」と、ママも心配になりますよね。

実は、こども薬膳の視点では、この「春のイライラ感」を単なる気持ちの問題ではなく、「体の自然な変化」と深く結びつけて考えます。

今回は、春特有のイライラ感とお腹の不調の繋がりについて、家庭でできるケアをお伝えします。


春は「エネルギーが溢れ出す」季節

薬膳のベースにある東洋医学では、人間も自然界の一部と考えます。

春は、冬の間じっと蓄えていた植物の芽が一気に土を突き破って伸び、動物たちが活動を始める「上昇」と「発散」の季節です。

私たちの体内でも、春になると同じようにエネルギー(気)が外へ向かって大きく動き出します。

この働きを司っているのが、体内にある「肝(かん)」という場所です。

「肝」とイライラ感の深い繋がり

「肝」には、主に次のような大切な役割があります。

  • 全身の「巡り」をスムーズにする
  • 感情のバランスを保つ
  • 血(けつ)を蓄え、栄養を配分する

春は、この「肝」の働きが一年で最も活発になる時期です。

本来であれば、冬の停滞を吹き飛ばして元気に活動するためのパワーになりますが、この変化が急激すぎたり、強すぎたりすると、エネルギーが体の中で渋滞を起こし、それが「イライラ感」や「落ち着きのなさ」となって現れてしまうのです。


なぜ子どもは春に「お腹が痛い」と言うの?

新学期の朝に、お子さんが「お腹が痛い」と訴える。

これは、決して甘えやサボりではありません。

東洋医学には、感情の乱れ(イライラ)がダイレクトに胃腸を攻撃してしまう、という体の仕組みが詳しく記されています。

イライラとお腹の繋がり

たかぶりすぎた「肝」のエネルギーは、体の中でも特にデリケートな「脾(胃腸)」を真っ先に刺激します。

  • 緊張やイライラ感(肝のたかぶり)
  • 胃腸の働きを乱す(脾の弱り)
  • 腹痛、食欲不振、吐き気、下痢など排便の乱れ

大人でも「緊張するとお腹が痛くなる」ことがありますが、成長途中で消化機能が未成熟な子どもは、その影響をよりダイレクトに受けてしまいます。

心のソワソワが、物理的な「痛み」となってお腹に現れているのです。

ママが「今は、春の勢いに体とお腹が追いつこうとして頑張っているんだね」という視点を持ってあげるだけで、親子ともに少しだけ心が軽くなるはずですよ。


子どもが春の影響を受けやすい理由

春の変化は大人にも影響しますが、子どもは特にその波を受けやすいと言われています。

その理由は、子どもの体がまだ「未完成」だから。

  • 自律神経が発達の途中: 
    季節の急激な変化に、ブレーキとアクセルの調整が追いつかない。
  • 体温調節や消化機能が未熟: 
    外の環境に振り回されやすく、疲れが溜まりやすい。

春のイライラ感は、本人の性格の問題ではなく、「芽吹きのパワーが強すぎて、まだ小さな体でそれを受け止めきれていない状態」

そう考えると、「どうしてそんなにイライラするの!」という焦りも、少しだけ「今はそういう時期なんだね」という穏やかな見守りに変わるかもしれません。


ママが食卓でできる「心をゆるめる」工夫

春のイライラ感やお腹の不調を和らげるために、一番大切なのは「巡りを良くして、胃腸をいたわること」です。
特別なことは必要ありません。
いつものごはんに、ほんの少し薬膳の視点を添えてみてください。

① 香りの力で「渋滞」を解消する

体の中で渋滞しているエネルギーを逃がしてあげるには、香りの良い食材が一番の助けになります。

  • 春の野菜: セロリ、菜の花、三つ葉、春菊
  • 柑橘類: レモン、ミカン、グレープフルーツ お味噌汁に三つ葉を散らしたり、サラダに少しセロリを加えたり。その香りが「肝」をリラックスさせ、イライラ感をスッと鎮めてくれます。

香りが強い野菜は、お子さんは苦手な子が多いかもしれません。でも、体に必要な時期には意外にも食べてくれることがありますよ!

実験気分で春の食卓に並べてみてはいかがでしょうか。

② 胃腸を「温かいごはん」で守る

肝の攻撃を受けている胃腸には、とにかく「安心できる温度」を届けましょう。

  • ご飯とお味噌汁を土台に: 消化に負担がかからないお米は、胃腸を内側から支えてくれます。
  • 煮る・蒸す調理を: 油っこい料理は消化にエネルギーを使うため、春の不安定な時期は控えめに。
  • 冷たいものを避ける: 朝一番に温かいスープを飲むだけで、お腹のバリア機能が整います。

春の不調は、成長を支える「大切なサイン」

春に子どもがイライラしたり、お腹を痛くしたりするのは、決して悪いことばかりではありません。

それは、お子さんの体が新しい世界へ適応しようと一生懸命に動いている「生命力の証」でもあります。

「うちの子、大丈夫かな?」と不安になったときは、ぜひ一度深呼吸をして、お子さんの好きな温かいごはんを作ってあげてください。

ママが楽しそうに食材を選び、子どもの体調を慈しみながら整える。

その時間は、お子さんにとって「そのままの自分で大丈夫なんだ」という最高の安心感になります。お腹が温まり、巡りが良くなれば、トゲトゲしていた心も自然と丸く、穏やかになっていきますよ。


「わが子のサイン」をもっと深く知りたいママへ

今回ご紹介した「肝」のたかぶり以外にも、お子さんの体質によって春の過ごし方のコツは異なります。

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